気になっていた谷へ向かう。
写真で見てはいたけれど、目の前に立ちふさがる巨大岩に圧倒される。
見れば見るほど不思議な気分になる。
谷から見る世界の広さにくらくらする。
岩の上は・・・数百メートル続くナメの世界。
「あぁきれい」呆けたようにつぶやき続ける。
今日は、誰も知らない秘密の沢で遊ぶ少女になった気分。
一歩一歩が楽しくて、進むのをためらってしまう。
楽しい沢歩きの後は、古道歩き、杉峠へと向かう。白峰と小池を結ぶ生活道。
郵便物も運ばれていたとか。
かつて山の奥へ奥へと暮らしの場を求めていった人々の想いは、便利な暮らしに慣れきった私には計り知れない。山林を開墾し出づくりに従事した暮らしが私の生まれる少し前まで営まれていたのだ。小さな人間の営みは深い。感慨にふけりながらかろうじて踏み跡の残る急坂を黙々と歩く。ポンと出た峠はきれいに整備されていた。なんだかうれしくなる。
峠から見えてくる人の営み。その営みの延長上
にある今の私たちの暮らし。そんなことを感じな
がらの峠めぐりは楽しい。
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