春と夏の狭間の奥穂高岳南陵

岳沢から奥穂高岳まで一直線、

雪、藪、岩稜と、登山道が作られる前の山登りを体感できるルート。

 

雪渓、涸れ滝と楽しんだ先は、

ハイマツの藪漕ぎ。

進む時間と進まぬ距離。

こっちのほうが楽そうと、

目先だけ見て行き詰る。

自分の性格が表われる。

 

藪を抜けると岩の世界。

振り返ると澄んだ空に緑の上高地。

緑の海の中に吸い込まれていきそうだ。

 

 

 

 

どこまでも続く青い空、

岩の険しさ、雪の白さ、緑の優しさ、

 

山に魅了される人の想いとは・・・

人を山へ駆り立ててやまぬものとは・・・

ふと考える。 

 

でもそんな問いは

目の前に広がる岩の造形美に吸収され、

幸せとつぶやきながら歩く自分がいるだけ。

20日前より岩の黒さが目立つ

北アルプスの峰々。

 

春と夏の狭間の静かな穂高。

この上ない日和に誰もいない山頂。

厳しい穂高にやさしく包まれた気分。

私の心もあたたか。

 

日常に戻り、

ひんやりした心で固まってしまったとき

今日を思い出そう。