「比良のシャクナゲ」

堂満岳のシャクナゲは満開には少し早かった。

「ちょっと早かったね。」という言葉とは裏腹にほっとした自分がいる。

こころ震わせ読んだ井上靖の「比良のシャクナゲ」。

花花花の回廊を歩いたら何かを無くしてしまいそうな気がして少し怖かった。

 

人のこころなんか我知らずと空を向き咲くシャクナゲ。でもそのピンク色のぼんぼりのような花は、淋しい悲しい人のこころに、ぽっと明かり   

                                 をつけてくれる。