一日目
木曾側から空木岳へ雪を求め雪のない道を歩き始める。
谷をさかのぼる長い道を歩いているとヒマラヤの山里をめぐる行商人のような気分に。ふと見上げた青空。ネパールと繋がる青い空。同じ瞬間、空を見上げ重い荷物にため息をつく行商人のおじさんの存在を感じドキッとする。
やっと現れた待望の雪は氷化してツルツル、その後はズボズボで踏み抜きの連続。嫌気が
さした時、木々の向こうに雪山が!明日はあの
絶景の中と今は辛抱の山歩き。
二日目
一歩一歩空木岳へ。
静寂の世界。風の音が、確かにここを歩いている自分を感じさせてくれる。
遠くから眺めていた雪の中央アルプス。
今この稜線を歩いている私は幸せだ。
空木岳山頂。
一人は4か月前の凍った山頂を思いだし、
一人は20数年前の自分に思いをはせる。
南駒ヶ岳へ向かう。
春霞の中、太陽はジリジリと雪を溶かしていく。
雪稜に見とれつつ、足元の腐れ雪にため息をつく。
南駒ヶ岳からの下りは、雪と岩と地図とにらめっこ。
行き詰り戻ったり、息をひそめてソロソロ歩いたり、揚句には早く雪が無くなれと願ったり。
それでも雪の峰々を名残惜しく感じたり。
雪に踊らされ、私の心模様を体現したような二日間。
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